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2013年08月08日

<連載企画> 農林水産物の海外輸出について【NO4最終回】

今回の取材の最終として、私は徳島空港に行ってきました。
航空貨物便について調査をするためです。少しでも運賃コストを下げるためには、徳島から直接輸出することが有利だと考えたからです。

徳島空港は、滑走路、管制塔など自衛隊との共用空港であり、この点で他空港よりも時間的制約を受けることになりますが、貨物便を飛ばすことは可能だとのことです。
ただ、外国便と言うことになると「保税庫」という、税関が調べる間の一時保留倉庫が必要になりますが、徳島空港にはその設備がありません。
過去に、岡山空港が航空貨物便のハブ空港を目指すべく、貨物ターミナルビルを整備しスタートしましたが、今は休止状況にあるそうです。それ程、貨物便を扱うと言うことは難しいと言うことでしょうか・・・。
私は、国内外の航空会社を問わず、最安値で貨物機をシンガポールまでチャーターするとどのくらいの金額になるのかという調査を依頼し、空港を後にしましたが、帰る道すがら、このまま議員個人として調査を継続していくに非効率さを感じるようになりました。

方向性や可能性がおぼろげに見えてきた今、個人の活動ではなく組織の活動に移した方が、より早くより正確に情報が得られると考えたからです。
例えば、個人的に得た航空便の見積もりが本当に正確なものとなりうるのか、再調査の必要が出てくるのではないか、他にももっと良いアイデアがあるんじゃないか等々、やはり物事を実現していくためには、今後は県庁組織全体で可能性を探る方が、より具体的な課題を抽出することができ、さらに先へ進めるのではないかと感じたのです。

そこで、これまでの調査から、ひとまず私なりの方向をまとめてみることにしました。
(そして、議員として県に提案し、今後は、組織的にさらに詳細な調査を進めようと考えています。)

まず、今回の農林水産物の海外輸出について、私が前提としているのは、できるだけ多くの生産者を対象にしたいと言うこと、つまり、意欲のある生産者ならどなたでも海外に売っていける仕組みを考えたいと言うことです。
それを充たす品目は、農業で言えば野菜全般だと考えています。

今までの調査で分かったこととして、日本産の農産物は海外では非常に高価なものとなっています。
日本国内の物価高や零細経営によるコスト高が影響しているものと考えられます。
農業の大規模集約化や法人化などが言われていますが、これらのことは、今すぐに解決できるものではありません。
ではどうするのか?
現状では、生産者から消費者に物が行き渡るまでのコスト、つまり、流通コストを下げる工夫をする方が現実的だと思います。

図Aをみて下さい。現状では、
農家→卸売り→日本の輸出業者→シンガポールの輸入業者→シンガポールの小売店→消費者 となっています。
 

これを図Bのように、日本の卸売りからシンガポールの小売りまでをまとめて中間経費を削減するのです。
一つの組織で賄えれば理想でしょう。仮に商社Xとします。

農林水産物の海外輸出について

では、今までどうしてこのような仕組みができなかったのでしょうか?
日本の商社は優秀ですが、大規模に国内産品を扱っているという話を聞いたことがありません。
むしろ海外の農産物を日本で売っているという話はあっても・・・。採算があわないと言うことなのでしょうか。
私はそうは思いません。
恐らく、今までいくつもの企業や個人が農産物の海外輸出を考えてきたのでしょうが、大規模に行えなかったのは、農家→卸売り、ここに最大の課題があったのではないでしょうか。
つまり商社Xは商売として成り立つだけの商品を確保でき無いと判断したのだと思います。
このことは、前述した H社 や Iさん の声からも推察することができます。
零細農家をまとめることができなかったのだと思います。
現在、日本の大手スーパーやレストランが契約農家の囲い込みを推進していますが、何年もかけて仕組みを構築した
と話しています。信頼関係を作るのには時間がかかるのです。(D社の話より)

次に課題となるのは、販売先です。
これを既存のルートに載せてしまえば、(シンガポールの輸入業者→小売店→消費者) それだけコスト高となり、販売価格に上乗せされていきます。
販売価格を抑えるためには、独自に販売先を開拓する必要があります。

その他の課題として、輸送上の課題や、国と国との手続き上の問題が起こりうる可能性がありますが、現在、日本の農産物が販売されているところをみますと、それらは解決可能な事案だと考えられます。

再度整理します。
では、商社Xはどのような組織にすればいいのでしょうか。
商社Xは、販売手数料で利益を上げる組織であることが理想だと考えます。ものが高く売れれば利益が上がる、多く売れれば利益が上がる、生産者の利益と商社Xの利益が合致します。
また、農産物の確保という点が最大の課題だとしましたが、この点をクリアするためには、JA又は行政が関与することが必要だと思います。生産者との信頼関係が築きやすいからです。
そして、現状ではJA組織が手数料収益モデルでない以上、行政の関与は欠くべかざるものと考えます。

もちろん、商社Xは、行政が関与しているからと言っても、税金で運営するのではなくて、利益の上がる組織
としなければなりません。

単年度営業黒字を目指すのは5年以内。アジア諸国の農産物のレベルアップ速度を考えると、短ければ短いほど良い
と考えます。

私の考える商社Xのあるべき姿を項目別に列挙してみますと

  1. 会社所在及び集荷場 ・・・ 松茂流通施設用地(徳島空港横)に建築
  2. 商品        ・・・ 県認証農産物生産者、新規就農者、その他公募農家による農産物
  3. 販売先       ・・・ シンガポール内の食事処やレストラン(第1ステップ)
                  営業活動による顧客捜し、農産物フェアによる告知等を実施し販路拡大を図る
  4. 輸送        ・・・ 定期貨物便のチャーターを始め、国内配送会社との連携も模索
  5. 資金        ・・・ 株式会社としファンドを形成し、広く民間企業、個人から出資を仰ぐ。
                  農家の確保という観点からも当初は行政からも出資
  6. 運営        ・・・ 組織の長は、民間人から公募

少し細部にわたって書き込んだところもありますが、以上が私が考える、海外輸出を行うための仕組みです。
もちろん、この仕組みは海外と言わず日本国中どこにでも販売していける仕組みともなるでしょう。

徳島の農業を再生していくならば、また、日本の農業の先駆的事例を作っていくならば、抜本的な対策が必要です。
事なかれ主義とならず、本気で実現していくんだという気概が、今、行政にも議員にも求められているものと
私は考えています。

今回、農林水産物の海外輸出についてと題して連載いたしましたが、以上で最終とさせていただきます。
取材に当たってご協力いただいた数多くの皆さん、本当にありがとうございました。
先ほども書かせていただきましたが、今後は、議員として県に提案し、実現に向け、組織としてさらに調査を進めていきたいと考えています。